2006年2月、経済産業省が「社会人基礎力」という指標を提唱し、その意識的な育成、活用に向けて動き出した。その結果、「社会人基礎力」とは、「基礎学力」「専門知識」とともに、「組織や地域社会の中で、多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」と定義づけられ、3つの能力と、それぞれを構成する12の具体的要素にまとめた。現在では多くの企業、大学がこのプロジェクトに参加している。


- 主体性
- 物事に進んで取り組む力
- 働きかけ力
- 他人に働きかけ巻き込む力
- 実行力
- 目的を設定し確実に行動する力

- 課題発見力
- 現状を分析し目的や課題を明らかにする力
- 計画力
- 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
- 創造力
- 新しい価値を生み出す力

- 発信力
- 自分の意見をわかりやすく伝える力
- 傾聴力
- 相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性
- 意見の違いや立場の違いを理解する力
- 状況把握力
- 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性
- 社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力
- ストレスの発生源に対応する力
社会人基礎力の重要性

ほぼ全ての企業が、新卒社員の採用プロセスや入社後の人材育成における「社会人基礎力」を重視している。
※29歳までの若者社員に不足が見られる能力要素としては、企業希望にかかわらず「主体性」「課題発見力」「創造力」が指摘されている。※
平成19年3月経済産業省統計
「社会人基礎力」が求められる背景
- 1.ビジネス環境の変化
- 近年の国内市場の成熟化と急激なITの進展により、市場ニーズの多様化、商品サイクルの短期化が顕著になると同時に、単純な作業が人の手から放れるIT化が進んでいる。必然的に職場では、「新しい価値の創出」が重要な課題として意識され始めており、それを担う人材に期待が高まっている。
- 2.職場等で重視される能力の変化
- 近年、職場等において、基礎学力や専門知識に加え、「コミュニケーション能力」や「チームの中で仕事をする能力」が重視されています。
- 3.社会全体による新たな枠組みづくり
- 「コミュニケーション能力」や「チームの中で仕事をする能力」は、従来、成人への成長過程の中で、「自然と身につくもの」と考えられ、その定義や育成方法は不明確であった。
しかし、先に挙げた二つの変化に加え、少子高齢化社会への突入、若者の価値観の変化、雇用の流動化、競争の激化など、前例のない変化の波は政治経済はもちろん、社会生活全般におよんでいることを踏まえ、「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行ってゆく上で必要な基礎能力」を「社会人基礎力」と定義し、「職場で求められる能力」を独立の能力として明確にするとともに、それを意識的に育成・評価してゆくための「社会全体による新たな枠組みづくり」を推進することの重要性がクローズアップされた。
経済産業省「社会人基礎力」答申書
- 社会人基礎力の定着の重要性
- 企業が多様な人材を確保し定着させるためには、企業と社員が採用から入社後の人材育成までを通じて、一貫した枠組みに基づいて、対話を重ねていくことが重要である。「社会人基礎力」の枠組みを活用し、採用時から入社後に求められる各能力の成長段階における具体的なイメージの設定を行うことによって、社員一人ひとりの能力特性、職務で求められる能力に応じた効果的な人材育成が可能となる。
- 採用段階から入社後の教育までの「つながり」の強化
- 「社会人基礎力」をベースに、採用段階から人材育成までを一貫した方針に沿って、継続的・体系的に実施することにより、社員一人ひとりの能力特性、職務で求められている能力に応じた人材育成が可能となり、企業への定着を高めることにも繋がると思われる。また例えば、各能力の成長段階を示す具体的なイメージの設定を行い、社員一人ひとりに示すことにより、社員による「気付き」の促進や、効果的な人材育成が可能となる。また「社会人基礎力」の育成は、正社員だけではなく、パート社員や契約社員などを含めた職場で働く全員を視野に入れたものとすることが効果的である。